1 事件の内容

 依頼者は、レストランの売上金を奪おうとして、スタンガンを従業員に突きつけ、金を出すように要求しました。しかし、従業員が大きな声を出したために、恐くなって逃げ出しました。従業員の110番通報により緊急配備された警察官に逮捕されました。ほにゃららを持ったままでいたことが致命傷になったようです。

 捜査段階では弁護士がつかず、起訴された後に私が弁護人になりました。

2 方針

 いくら未遂とはいえ、強盗ですから執行猶予とはならず、実刑判決が下される可能性は十分ありました。しかし、依頼者には前科はなく、また大きな声を出されただけで逃げ出すなど、なにがなんでも金を奪ってやろうという感じでもありませんでした。

 ですから、示談を成立させ、身元引受がしっかりしていることをアピールし、執行猶予を求める弁論をすることにしました。     

3 弁護活動-示談

 この場合、被害届はレストランの経営者ではなく、スタンガンを向けられた従業員から提出されていました。しかし、奪う対象はレストランのお金ですので、両方とも被害者と言えます。

 それで、そのレストランに行き、その従業員の方にお会いしました。経営者との示談についても任されているということでした。私が依頼者に成り代わって、従業員の方に謝罪し、示談を申し入れたところ、応じてくださいました。経営者も示談に応ずるということでした。

 数日後に示談契約書に署名・捺印していただきました。

4 弁護活動-身元引受

 依頼者は地方から家出同然で上京し、一人暮らしをしていました。地方在住の父親に連絡をしたところ、上京し、事務所まで来てくれました。ただ、家出の原因はこの父親との確執にあるようで、身元引受人としてはどうかという感じもしました。しかし、父親はその地方ではかなり高い社会的地位に就いており、その点をみれば、身元引受人として的確です。いろいろ話した結果、依頼者と仲直りするような様子も見えたので、この父親に裁判書への嘆願書を書いてもらい、裁判の日には証人として出廷してもらうことになりました。

5 弁護活動-裁判の準備

 この間、警察に留置されている依頼者と3日に1度程度は接見していました。依頼者に反省文を書くように指示し、父親との関係を調整し、さらに裁判の日の前日には留置場の接見室で、被告人質問の予行演習を行いました。

 裁判は午後からだったので、父親にはその日の午前中に上京してもらい、証人尋問の予行演習をしました。

6 結果

 このような弁護活動の結果、懲役3年、執行猶予4年の判決が言い渡されました。スタンガンは没収されました。