1 事件の内容
Aさんは電車の中で盗撮をしていまいました。写メでスカートの中を撮影してしまったのです。被害者の申告でAさんは逮捕されました。
2 受任
私に連絡をとってきたのは、Aさんの奥さんです。警察から連絡があり、逮捕されたAさんと面会した上で、Aさんが犯行を認めていることを聞きました。すぐに自分が知っている弁護士に連絡をとりましたが、その弁護士は刑事事件はやらないということで、その弁護士が私に連絡してきました。
奥さんにはすぐに事務所に来てもらいました。私が一番心配していたのは、奥さんがAさんを支援できないと言い出すのではないかということでした。女性は性犯罪には嫌悪感を感じますし、特に自分の夫がそんなことをしていたと聞くことはまさに青天の霹靂です。そのショックで、すぐに実家に帰ってしまい、留置場に閉じ込められた夫のために差し入れもせず、面会にも行かなかったという方もいらっしゃいます。それで私も、Aさんの奥さんがどこまで支援してくださるのか心配でした。
色々話した結果、奥さんはひどいショックを受けているが、すぐにAさんを見放すつもりはないということが感じ取れました。そこで、奥さんからの依頼で、私が弁護することになりました。
3 方針
警察署でAさんと接見したところ、盗撮は何度もしているが、発覚したのは最初であることがわかりました。それなりの会社のサラリーマンであり、これまで逮捕歴もなく、ごく普通に暮らしていました。このような場合、被害者と示談すれば起訴猶予になる可能性が高いものと思われました。
犯人が逮捕された場合、まず72時間閉じ込められます。その時間内に検察官が勾留という身柄拘束処分を請求すれば、さらに20日間閉じこめられます。その期間内に、検察官が犯人を起訴するか否かを決めます。私が接見したのが、勾留の3日目で、あと17日の内に示談を成立させることを目指しました。
4 弁護活動
検察官に被害者の連絡先の教示を依頼したところ、被害者の意思を確認して、数日後に連絡先を教えてくれました。すぐに被害者に電話して、面会の約束をとりつけました。お会いして、Aさんに成り代わって謝罪した上で、示談を申し入れました。
その後数回にわたり、示談条件について電話でやり取りしたところ、勾留が満期となる数日前に内諾が得られたので、また被害者とお会いして、示談契約書に署名・捺印していただきました。
示談契約書の写しと被害届取下書とを検察官に提出し、Aさんは起訴猶予になりました。