1 事件の内容

 渋谷にパイプを扱っている店がありましたが、そこで売っているパイプは、覚せい剤をあぶって吸引するためにも使えるものでした。依頼者はそこに行って、パイプを買い、家に帰ろうとして車を走らせていました。

 出発して数分走ったところ、パトカーが車の前に割り込んできて、停車を命じました。車を駐め、パトカーから降りてきた警察官と対応していました。警察官は車の中を探させろと言い出しました。依頼者は違法なものはなにも持っていないと言いましたが、警察官はしつこく言ってきます。押し問答が続き、依頼者は車を出そうとしましたが、車のすぐ前にパトカーが駐めてあるために、前進できません。バックしようとしましたが、依頼者が気付かない間に、別のパトカーが車の後ろにバンパーを接するようにして駐まっていました。切り返して、そこから抜け出すことができません。

 こうなってはどうしようもないので、依頼者は車の中を探すことを黙認しました。その結果、覚せい剤が見つかり、依頼者は現行犯逮捕されました。警察署に連れて行かれ、尿を出すように命じられました。依頼者はしぶしぶ尿を出しました。その中から覚せい剤の成分が発見されました。

 依頼者は覚せい剤の所持と自己使用とで逮捕され、起訴されました。

2 方針

 依頼者には前科はありませんでした。覚せい剤で逮捕されたのもこれが初めてです。適切な弁護活動をすれば、懲役刑は科されるでしょうが、執行猶予判決となることが見込まれました。

 また、保釈を申し出れば、それが認められる可能性も大きいものと思われました。

3 弁護活動-保釈

 両親がご健在だったので、依頼者の了解の下で、連絡をとり、保釈金の用意と身柄引受書を書くことをお願いしました。依頼者にも、逃亡しないし、証拠隠滅もしないという誓約書を書いてもらいました。

 保釈請求書を書いて、提出し、数日後に裁判官と面接しました。被疑者がフリーターだったので、裁判官は少し首をひねりましたが、いろいろ言って説得し、保釈金が200万と決まりました。保釈金を納付して、その日の夕方に依頼者は釈放されました。

弁護活動-裁判

 証拠に目を通し、証拠調べに関する異議は出さないものとしました。依頼者に裁判所に提出する反省文を書くように指示しました。両親に、裁判所に提出するための嘆願書を書くようにお願いしました。これらは裁判の際に、証拠として提出しました。

 裁判の前日に、証言してもらう父親と依頼者に来てもらい、証言と被告人質問の予行演習をしました。

 裁判の日は父親に情状証人として証言していただきました。息子を思う心情が溢れるよい証言になりました。被告人に対する質問でも、反省文とあいまって、本人が深く反省していることがわかる質問になりました。

結果

 1週間後の判決言渡期日に、懲役1年6月、執行猶予3年、覚せい剤没収という判決が言い渡されました。