犯罪を犯していないのに、逮捕されたような場合、捕まえられた方としては、なんとしても無罪を証明して欲しいとお考えになるのは当然です。ただ、これはとてもむずかしいことです。
そもそも、無罪判決は無罪であることを証明した結果言い渡されるものではありません。無罪判決は、犯罪の証明がない場合に言い渡されます。犯罪の証明があるとは真っ黒な場合です。犯罪の証明がない場合とは、真っ白か又はグレーな場合です。つまり、真っ黒ではないグレーであれば言い渡されるものです。それは無罪であることが証明された、すなわち真っ白であることではありません。ですから、無罪判決が言い渡されたから、あなたが犯行とはまったく関わりがないことが証明されたということはできません。
もちろん、判決文の中であなたが犯行とは関わりがないことまで認定してくれる場合もないわけではありません。ただ、そんな場合は稀です。ほとんどの無罪判決では、疑わしい事情はあるが、有罪判決を言い渡すことができるほどには犯罪が証明がされていないという内容の判決になっています。真っ白だと認定してくれるのは、真犯人が捕まり、しかも証拠からその人が真犯人だと判明した場合ぐらいでしょう。
そもそも、警察官だの検察官だのが捜査を重ねて証拠を集め、十分に証明できると思うから検察官が訴えたのです。なんの疑いも残らない真っ白であることを証明するのは不可能に近いと言ってもよいでしょう。
視点を少し変えて、ターゲットを無罪判決を言い渡してもらうことに絞ってください。これであれば、検察官の主張に疑わしい点があるというアピールに成功すれば、無罪判決が下されます。これはこれで容易なことではありませんが、無罪であることを証明するよりは簡単です。
まずは弁護士に相談してください。無罪判決を言い渡してもらうためにすべきことは、事件ごとに千差万別であり、ただ一つの道筋があるわけではありません。弁護士によく相談して、その事件で一番適切な道筋をつけることです。
まず必要なことは、あなたの記憶していることを弁護士に正確に伝えることです。それがすべての出発点になります。