あおり運転にどのような法律が適用されるのか

東名高速あおり運転事件のように時に死亡事故さえ引き起こす危険性を秘めたあおり運転。

幅寄せや蛇行運転、クラクションによる威嚇などドライバーなら誰しもが一度は経験したことがあるかもしれません。

そのようなあおり運転のうち、「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、

その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」で人を死傷させた場合は懲役刑の対象になっています

(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条4号)。

危険な運転をしても人を死傷させなかった場合には、基本的には道路交通法違反に該当するにとどまります。

たとえば車間距離を詰めすぎる行為は、車間距離不保持違反として、

高速道路の場合3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条1項一号の四)、

一般道路の場合5万円以下の罰金(道路交通法第120条1項二号)になる可能性があります。

もっとも、あおり運転を人に恐怖心を植え付ける目的で行い実際に人に恐怖を与えた場合には脅迫罪が成立する可能性もあるので、

あおり運転がどのように処罰されるかは個別のケースで具体的に判断しなければなりません。

 

停車中の行為にもかかわらず危険“運転”致死傷罪が適用された東名高速あおり運転事故

あおり運転の恐怖を世間に知れ渡らせた東名高速あおり運転事故では、

被告人が被害者の車両を高速道路の追い越し車線上に停車させて追突事故により死傷させた行為は、

危険運転致死傷罪に該当するとして懲役18年が言い渡されました(2019年2月時点では被告人側が控訴中のため判決は確定していません)。

事故発生当時、被告人は事故の2、3分前には車両を停止させており「重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転」していたわけではありません。

法律に規定されている行為だけしか処罰できない罪刑法定主義を厳格に適用すれば、被告人の行為に危険運転致死傷罪は成立しないように思えます。

しかし、ニュースでも報道されているように、本件の被告人は自己中心的な理由で何の非もない被害者の命を奪ったにもかかわらず反省の態度を示さない人物でした。

その処罰の必要性の高さから、裁判所は今回拡張解釈をしたのだと思われます。

しかし、他の事案で同様に拡張解釈され不当に処罰の範囲が広がるおそれがあるので、判決の妥当性には疑問も残ります。

今後この事案は控訴審で争われ、控訴審の判断がどのようなものなるとしても、最高裁まで争われる可能性は高いでしょう。

 

あおり運転の被害者になったら確実な証拠を得ることが大切!

もし自分があおり運転の被害者になってしまったとしたら、しっかり証拠を残すことが大切です。

ドライブレコーダーではナンバーやあおり行為、場合によっては相手の顔までしっかり映るので、証拠価値は高いといえます。

5,000円以内で購入できるドライブレコーダーでも、いざというときには自分に非がないことを証明してくれる頼もしい存在になります。

ドライブレコーダーがない場合には、スマホやデジカメの動画機能でも良いでしょう。

もしそれらの撮影機器がないのであれば、同乗者に日時やナンバー、あおり行為の詳細などをメモしておいてもらうことをおすすめします。

近い将来、自動運転が当たり前のようになってくれば、運転手の苛立ちによって引き起こされるあおり運転は少なくなるはずです。